就職活動を経ての傷跡

 

・活発じゃない
活発じゃない、戸惑いが多い、自嘲気味に嗤う、抽象的な話し方、自意識過剰、話しかけない、・・・私が言われてきた他人からの指摘だ。就職活動の面接、卒業論文での指導、高校生のときなどあらゆる場で言われて、胸にざっくりと傷跡を私に残した。もう誰が言ったのか憶えていないのもある。でもこうやって憶えているってことは、図星を突かれたからなのだろう。面接の場で言われるのは堪えた。しかも派遣登録のWEB面談の最中に。新卒枠で落ちまくってそれで派遣に応募したらそう言われた。「君みたいな子に仕事を与えたとして、逃げ出さないという確証をこっちで持てそうにない」というニュアンスのことも言われた。その場では上手くやり過ごすのに必死だったが、時間が少し経つごとにじわっと遅れて痛みがやってきた。
もし私が活発だとして、人事の人たちが求める人物像になれたとして・・・それは本当に私なんだろうかとぼんやり考えてしまう。もうこんな自分はうんざりだって毎日、いや毎秒痛感させられている。不安が強くて、次の場面ではもう気持ちが変わっている。自分自身の扱いに手こずるので他人を思いやったりする余地がない。だからあんまり人間関係におけるリソースが足らない。部活もゼミナールもコンパも恋愛もやってない。世間的にはご立派と評されない通信制大学だがそれでも4年で卒業するのは大変だった。4年で卒業するためにバイトとレポートにのみ捧げた。それ以外のことはできなかった、私の体力では。インターンもろくにやってないし、大学卒業以外の資格もない。やりたいこともはっきりとは言えない。だから、就職活動の場でいつも迷惑そうに人事に見られた。普通の大学生からは随分遅れをとっている。志望動機は曖昧で、就職してからやりたいことのビジョンもみえてない。そううんざりさせているのは分かるが、どんなに考えても分からない。皆どうやってあんなに体力があって、やりたいことを見つけられているんだろう。派遣登録に履歴書を送ったら、「あんまり慣れてないですね」と言われた。勤務経験もなく、パソコン操作も下手だと判断されて、活発じゃないときた。コミュニケーション能力で仕事をまわすんです、お金をいただくって事は大変なことなんですと耳がたこになりそうなくらい聞いた。「お金をいただくのは大変」とか「社会人失格」とか一体誰が決めたルールなんだろう。「社会人失格」をやたら言う人は、「社会人合格」と言って欲しい人なんだろうな~と思って最近はやたら褒めるようにしている。これ以上何か言われるのはきつい。とにかく私は4年でせっせと卒業したけど新卒枠での内定が貰えなかった。ストレート入学の人からも既卒枠の人から比べても齢をとっているし、適性検査は難しいし、活発じゃないし。通信制大学を卒業することを望んでいたのに社会的立場がなくなるようでさみしい。ただのアルバイターになる。フルタイムで働く自信が持てなくて(アルバイトは体力仕事でもあるので・・・という言い訳)短時間アルバイトを来年度も続ける予定だ。逃げと恐れと甘えばっかりで嗤われそうだが、こんな私は過去よりこれでもずっと前向きで強くなれた。以前は誰にも話しかけられなかったのに初対面で自分から話しかけるのは得意になった。もう怖くない。接客業ではないし、サークルのリーダーなんてやれないけどアルバイト先で雑談するのも、お客さんと接するのももう怖くはない。なんて幸せなんだろう、って毎日思う。喋りたかったときに比べて今の私はずっとずっと自由だ。なんて幸せなんだろう、他人からみれば下らない頭の悪い人間でしかないんだろうけど。パソコン操作をなんとかすべくまた以前通っていたパソコン教室に通うことを今検討中だ。毎日ふとした瞬間に泣きそうもなるが、それを堪えるために何かしたくてたまらない。私は不安と恐れが人の何十倍も多い。「あれをしなくては」と不安になってでもその不安が強すぎて毎日何も出来ない。そうやって時間が過ぎていく。でもときどき悩みながらも、以前とは変わった自分が現れる。なんて幸せなんだろうって実は毎晩耽りながら眠りについている。そんな毎日なんだけど、楽しくしてるくらい許されるよね。あとずっとマスクが最近苦しい。フルタイム以上の時間マスクつけて仕事するって想像を絶する。