「リアル・クローズ」(著:槇村さとる)を読破した

 

 

数年前、この漫画の実写ドラマを何回か見たのはうっすら覚えている・・・。香里奈さんは可愛かったが、序盤の主人公が百貨店の布団売り場のチーフをやっている際の「芋臭さ」があまりに一時的な匂いが凄いのと、その後婦人売り場に配属されてからの「派手さ」にも嘘くさいのと・・・。あと、映画「プラダを着た悪魔」で有名な、街を歩きながら女性の衣装がコロコロ変化するシーンをオマージュだか丸パクリしているのだけ覚えている。1回きりのスペシャルと、連続ドラマをやってたり。序盤を2回くらい見た気がするし、終盤は何の記憶もない・・・。私はradiotalkで少女漫画喫茶が、「リアル・クローズ」について取りあげたとき、「ああ、あのドラマのやつ?」という印象しかなかった。今回、きちんと漫画を一通り読み終えて、「ちゃんと漫画読んでよかった!」という感想を持てたので書きたいと思う。

少女漫画喫茶では、主人公の部長である田淵や絹恵の失恋に対して、「どこをリアルに取りあげているのだ」と語っていたが、私も漫画版の醍醐味は以外とここにあると感じている。この漫画は「働く行為に楽しさを見いだせる」主人公の仕事漫画であることは間違いない。主人公・天野絹恵は神保部長や田淵に結構理不尽な言葉(今となってはちょっとパワハラかも)な言葉を投げられたりするのだが、そういう場面に出くわす度に「チャンスをなくしたか?」と気付くのである。「垢抜けない」、「太っている」、「接客スキルが足りていない」などバシッと言われる現場の中で傷つきながらも、彼女なりに出来そうな行動はすぐに飛びつき、変化してくさまは痛快であるし、私は主人公に好感が持てた。

また、周囲の人間が様々な事情で主人公とは違う環境へ移ったりする変化による「痛み」を感じつつ、「やっぱり働くことが好きだ」という地点へ落ち着く様も丁寧に描かれているのがよい。そういった別離を乗り越えて、「やっぱり働くことが好きだ」を繰り返す主人公が最終的に、かつて神保部長が営んでいた場所の復興をする役目になるのも関心させられた。ぼけっと読んでいたので。彼氏である達也(別れ方がやばい)、神保部長、優しい同僚のニコ・・・この人たちの別れはただの別れではなく、そのたびに「何が自分を支えているのか?」ということを改めて考えるきっかけとなっている。

あと、今回漫画版を読んでいて驚いたのは、作者の目の描き分けだ。複数の女性が登場するのだが、それらのキャラが同時にコマに存在するときなど、それぞれが違う目を持っていることに私は驚いた。男性は分からない・・・あんまり着目してなかった・・・。